2011.01
29
Sat
人間は恒温動物なので、周囲の気温に関わらず一定の体温を保とうとします。人間の体は、暖かく重要な臓器が詰まった中心部をそれよりも温度の低い筋肉や脂肪や皮膚で覆うという構造になっています。中心部とはつまり、頭蓋骨に覆われた頭脳や、胸と腹部の生命維持に不可欠な器官のことです。皮膚、脂肪、筋肉など実質的に外側の世界との緩衝地帯の役を果たし、急激な温度の変化から体内の器官を守っているわけです。
極端な低温や高温の環境でも、体内の重要器官の温度は36.8度から2度程度の変化に収まるよう調整しているわけです。皮膚など表面に近い部位の温度は、それより数度低いので、もし、より正確な体温を測定するのであれば、口の中、下顎と舌裏に間で測定するか、直腸温を測らなくてはいけません。体内の重要器官の温度が42.7度以上か、28.8度以下になったら、そうなってしまったならば死を覚悟しなければなりません。
私たちは簡単には死にません。外の環境変化に応じて、あらゆる手段を駆使して生き残ろうとするのですが、実際にはどうなのでしょうか?
寒いある昼休みにダウンジャケットを着て中華料理屋に行きました。手足は冷たかったのですが、暖かいマーボ豆腐を食べているうちに汗が出てきました。また、ある日外気温はマイナス15度、じっとしていても寒いのですが、意識して手足指を動かしたり、歩くことで辛くなくなりました。人間の体は動き回るにせよ、鳥肌を立てて震えるにせよ、エネルギーと熱を発生するには燃料を燃やさなくてはいけません。
ブルブルと震えがくるのは、発生させる熱より失われる熱のほうが多いことを体が教えようとしているともいえるのです。ブルブルと震えるためには体内エネルギーが必要なのです。登山をしていてこのような状態になった時、適切な対応がとれるかどうかが生死の分かれ目かもしれません。
ところで、私たちの体のどこにその能力が備わっているのでしょうか。実は人間の頭の付け根にはサーモスタットがあると言われています。小さな神経組織で、体温を一定に保つに体のすべての部分を監視し、熱の発生と消耗をコントロールしているのです。
低体温症を起こすと、そのサーモスタットが反応します。熱の収支でいうと赤字ですから、熱をできるだけ体内の重要器官に集中するように命令するのです。するとまず、熱の供給が低下した手足からこわばり始めます。体内の重要器官の温度が下がるにつれ、体はついに、知性の源である脳頭からも熱を引き出すようになるのです。。そうなると頭脳が必要とする酸素と糖分が得られなり、頭脳にいくべき糖分が生きるための熱の発生に使われてしまうのです。頭脳の働きが弱まり、震えが止まって、理性的でない行動をとるようになります。
低体温症が最初に引き起こすのは意志の力を弱めることなのです。本人はそれほど気がつかない。震えが止まると不安も感じなくなる。死にかけているのにどうでも良くなるのです。この段階に達すると、体はもはや自らを温める能力を失っているので、寝袋に入ったとしても、体温は下がり続けるのです。脈拍は不規則になり、眠気に襲われて意識が混濁しやがて意識を失うことになります。
このような段階になってしまっては、最後の望みは、外部から熱をもらうことしかありません。火、温かい飲み物、他人の体から直接熱供給を受けるしかないのです。
雪を食べてはいけないと良く言われていますが、なぜなのでしょうか。雪山において、今まで述べてきたようなエネルギーが不足して、水分が足りなくなった状態のとき、雪を食べるということは、口の中で溶けるときに貴重な体温を奪うだけでなく、内側から体を冷やし、生命維持に不可欠な器官の温度を下げてしまう事になるのです。
生体として必要な水分を得るのが重要か、熱源を得るのが重要か、どちらも重要だと思いますが、正しい判断を下す「脳」を維持するのが最重要ではないかと思うのですがいかがでしょうか。
優れた登山用品ももちろん大切ですが、人間本来の能力を高める努力を怠らないようにしたいと思っています。
登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。
加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。
2011.01
28
Fri
伯耆大山から八ヶ岳へ移動しました。ドカ雪の伯耆大山と違い、八ヶ岳の積雪は例年並みかやや少ない感じです。雪が少なくても気温が低いのが内陸部の特徴、赤岳鉱泉のアイスキャンディも立派に発達してます!!
2011.01
26
Wed
今年、大雪の伯耆大山(鳥取県)に行ってきました。こんな大雪は初めてです!!地元の方々も「10数年振りだ」と話してます。降雪も続いているので、雪崩はもちろん屋根、樹木からの落雪にも充分な注意が必要です。雪が少なかった昨年に比べると、豊富な積雪がありますので、充分な予測と準備をして、今年ならではの厳しい冬の伯耆大山に取り組むのもよいのではないでしょうか。
2011.01
20
Thu
好日山荘加古川店、神戸店のお客様と金剛山に行ってきました。
今年は雪もしっかりとあって、今のところ、アイゼン(クランポン)歩行の練習にはちょうど良い状況です。金剛山のHPで有名な頂上のウエブカメラに向かって、手を振る人も多く、ロープウエイでも頂上近くまでアクセスできるので大阪南部の人にとっては身近な良い山だと感じました。
2011.01
18
Tue
昨秋より開催しております「Step-upクライミングスクール」の2月と3月開催日程が決まりました。
このスクールの特徴は
1:初めての人が対象です
2:装備やウエアの選び方、使い方から説明いたします
3:連続した内容なので短期間で基礎技術が身に付きます
室内で行なう4回のスクールでロープワークや確保の基礎を学び、5回目で岩場に出ます。
室内スクールは平日19:30~20:30とお仕事帰りの方にもお越し頂けるように時間を設定しました。
ぜひお越しください!!
ステップアップスクール(¥15000/5回一括。GravityResearch会員登録料は別途)
【第5期日程】
step1@GR 2/ 9(水)19:30~20:30
step2@GR 2/16(水)19:30~20:30
step3@GR 2/23(水)19:30~20:30
step4@GR 3/ 2(水)19:30~20:30
step5@名号岩 3/13(日)
お申し込みは 078-855-8043 GravityResearch神戸まで。
「ステップアップスクール希望」とお伝えください。
詳細は下記PDFファイルをご覧ください。
2011.01
16
Sun
冬型の気圧配置となっても安定した天候のことが多い八ヶ岳には多くの登山者が訪れます。赤岳鉱泉をはじめ、営業する山小屋が多いのも年間通して登山者が訪れる理由でもあります。
八ヶ岳は火山ではありますが、一つの火口からできているわけではありません。ご存知のように南八ヶ岳は阿弥陀岳、権現岳、赤岳、横岳の峰々は大きく崩壊が進み、険しい西面には格好のアルパインルートを提供してくれます。崩壊が進んでいるということはこの一帯は古い山体ということになります。
次に続く古い火山活動は北八ヶ岳双子峰付近で起き、更には南八ヶ岳編笠山、美濃戸中山で活動がありました。南八ヶ岳の険しい山容の中でこの編笠岳や中山は丸みを帯びて浸食が進んでいないことがわかります。
その後火山活動は北八ヶ岳に移り、天狗岳、縞枯山などができました。これらの山々はあまり浸食が進んでいません。
大きな爆裂火口を持つ硫黄岳は比較的新しい火山で、誰が見てもはっきりとその形を認識することができます。この火山性砂礫地はコマクサの群生があります。八ヶ岳最後の火山活動は一万年ほど前におきた北八ヶ岳横岳で起きました。坪庭はその時の溶岩流でできたものです。
縞枯山の名前の由来は「縞枯れ」にあるのですが、なぜ起きるのでしょうか。シラビソやコメツガの一部が帯状に枯れ、斜面に何列も縞ができるあの現象です。縞枯山での調査では年に1.7m上昇しているのだそうです。枯れた部分は立ち枯れしているのですが、光が差し込むので、幼樹が育っています。様々な原因があるのでしょうが、先に書いたように、この山が新し溶岩がほぼむき出しとなっているのも大きな理由でしょう。浅い土壌は栄養的にも物理的にも大木を支えることが難しいのです。そこに強風が吹き付けることで立ち枯れや風倒木となってしまうのだと思います。
冬、強風が吹き付ける八ヶ岳連峰は大変な低温に曝されます。入山が手軽な山ですが、寒さ対策、凍傷対策をしっかりと行うようにしてください。
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加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。
2011.01
08
Sat
様々な登山のトラブルのうち、転落・滑落・ねん挫、骨折などは、足の筋力とバランス力の低下から起きた体の故障が原因となることが多いのです。
適切な水分と栄養補給を行い、ペースを崩さずに行動することで疲労の蓄積を少なくすることはできます。どんな人であれ、登山を行えば疲労します。下山時、太もも筋肉が疲労してきて、リズム良く片足で体重を支えきれなくなると、膝関節を「棒」のように下りがちになります。上半身の上下動が大きくなり、体重+荷物の衝撃が膝を直撃しだします。膝が悲鳴を上げだします!多くの登山者が経験していることだと思います。
下山では筋肉が引き伸ばされた時点で着地衝撃が発生する為に筋肉が破損し易いのです。「どうしたら楽に下山できるのでしょうか。」と多くの方が聞きます。一般的には、その衝撃を緩和されるために、一歩の段差を小さく、ストックなどを使用するのも効果的です。そして、最近流行りのサポートタイツや膝テープなども効果があるでしょう。でも、これは対症療法であって解熱剤みたいなものです。
サポートタイツや膝テープの効能はどこにあるかといえば、弱まった筋力をサポートすることなのです。しなやかな膝の動き、左右にブレないスムースな動きを支える筋力を補強しているのだという自覚が必要です。ここから見えることは、日常的にサポートタイツやテープに頼っていると自身の筋肉は「改善する」動機が働かないということでもあるのです。今現在、故障中或いは治療中でない限り、日常生活であまり頼り過ぎない方が良いと思います。商品コンセプトを理解して、目的別に使いたいものです。
今までお話ししたことは、山に入ってしまってからのことです。十分な筋力を持たずに山に行くことを、例えで話せば、筋力という貯金(キャッシュフロー)がない時に、お買物しまくるようなものなのです。
「アスリートになろう」ということではありません。自分自身の体重と荷物の合算した重量を支えつづける持久的な筋力を身につけるだけで良いのです。これを相対的な筋力といいます。年齢には関係ありません。できるだけ筋力の貯金をして、それに見合った登山スタイルにすれば良いのです。他人と較べる必要はありません。
長年山登りを続けてきたという過去の自信ではなく、最近三カ月の登山実績を念頭に太ももに手を置いてみてください。快適・安全・楽しい登山にするために、冬の間、少し暖房温度を下げて、自宅内筋力トレーニングを始めてみませんか。
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2011.01
04
Tue
新年といえば書初め、書初めといえば墨が必要ですが、墨の色に関して書かれた随筆が「冬の華」という書物にありました。岩波書店から昭和15年11月10日に出版された書籍で、著者は中谷宇吉郎氏です。
中谷宇吉郎氏は物理学者で、昭和12年10月の美術思潮 に書いた「墨色」という随筆がこの「冬の華」に載っています。戦前の本で仮名遣いや漢字に少々読みにくいところはあるのですが、わかりやすい文章です。
ここでは、墨色には青味を帯びたもの、茶色がかったもなど色々と書かれています。話にはこの微妙な色の差を科学的に解明しようと取り組むN氏を登場させて解説しています。名墨といわれるものの蒐集家の世界の事、科学的とはどういう態度の事なのか?すべての名墨が手に入って分析したからと言ってすべてが解明できるのか、など人間味あふれる科学者目線の随筆です。
私はなぜか、和紙、硯、墨、落款などが好きなのです。自分は小学校の時にお稽古させられた習字を数日で逃げ出し、現在も下手な字に自信があるのに全く不思議です。自然の素材からできたもので、手作りであって、職人技がものを言うからでしょうか。
ところで、墨は煤、つまり炭素を膠で捏ねて固めたものであるのに、土に埋もれた千年も二千年も前に書かれた筆書きが現代に蘇るのがとても不思議なのです。現代の石油化学物質が100年も持つでしょうか。
日本の墨はその生産の90%が奈良県であることはご存知でしょうか。墨の歴史はこちら。
2011年新年の第一回目は山とは関係ない話題となってしまいました。冬山には雪が付きもの、雪といえば結晶、そして中谷宇吉郎氏なわけです。この中谷氏は様々な自然現象を観察し、再現させ、科学的に解明しようとしました。この姿勢を忘れてはいけないと思います。
私たち登山者も、不確実なことがある自然界に入っていくわけですから、危ない危ないと言ってリスクを避けてばかりの山登りをしていては、力を高めることができません。だからといって、むやみに突っ込めということではありません。
未知なる対象が存在するという謙虚な心を持って、出来るだけ科学的に解釈し、後は思い切って一生懸命やるということです。
やるだけやってダメなときは、一旦潔く引いて再挑戦していくことのです。
今年は何でも良いので「課題と目標」を定めて、プレッシャーを感じながらやっていきたいと思います。
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